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暮らしの中に小さな発見・工夫を☆ 

東京国立博物館で遊ぶ 初めての表慶館 そして浮世絵・木版画の懐の深さを知る

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最近忙しく、ぼんやりする時間がなかったため、ひさしぶりに大好きな場所、東京上野にある、

「東京国立博物館」

に行って気分転換をしてきました。

 

実はわたしは、東京国立博物館が好き過ぎて、

平常展のみ1年間何回でも通える

「国立博物館 メンバーズパス」

を毎年購入し続けているほどです。

(正確には、東京・京都・奈良・九州国立博物館全ての平常展で使えます。 東京以外まだ行けてませんが・・(T_T)

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ここへは、何か観るものを決めて行くことももちろんありますが、そうでなくても、緑に囲まれた博物館の敷地は広大で、「なにかしら楽しみを見いだせる場所なのではないか」、と密かに思っていたりします。

わたしには「とっておきの場所」です。

 

今回わたしは、まず東博コレクション展(平常展)のひとつとして、本館にある

「金剛力士立像」

を観ました。

 

よく、お寺の入り口にある門の左右に安置してある

「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」のペアになっている筋骨隆々の、あの立像です。

以前安置されていたお寺で台風の被害にあったため大破し、それを修復した経緯を経て、こちらに所蔵されるようになったのだそうです。

なお像は平安時代後期に制作されたものです。

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3メートル近くの高さがあり、間近に観れて迫力満点でした。

でも、わたしが観れてとっても良かったなあと思ったのは、

「後ろ姿」

です。

本来のお寺の門のところに安置されていたらまず観れないまさかのアングルですね。

 

こちらはリーフレットから。

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ムキムキの前面と違って背中側は正直「あれっ?」と思ってしまいました。

でもそこが(失礼ながら)親しみを感じられたところだったのかもしれません。

 

その後、東京国立博物館の中にある、「表慶館」へ向かいました。

表慶館は建物自体が重要文化財です。

 

皇太子(のちの大正天皇)のご成婚記念に国民から奉献された美術館なのだそうです。

こちらで催しものが開催されていない時は、立ち入れないようになっており、わたしは今回初めて訪れました。

外観

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内部の階段 

手すりの模様がト音記号みたいに見えないですか?

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建物中央のドームになっているところ

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階段付近

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突然ですが、わたしは名探偵ポワロのドラマが大好きです。

なのに、事件の現場となった建物や部屋の内部のインテリアとかが、趣向を凝らしていたりすると、困ったことにストーリーそっちのけでそちらに目がいってしまうのです。

今回の表慶館もかなり危なかったです( ;∀;)

 

ところで、今回ここで催されていたのが、

「浮世絵現代」

というものでした(注)。

 

(注)こちらはわたしのように東博コレクション展(平常展)で入場した場合、別途特別展としての入場料がかかります。

 

国内外のアーティスト80名がアダチ版画研究所の彫師・摺師の方々のご協力を得てそれぞれ木版画に挑戦されたものです。

いろいろな作風の作品を観ることができました。

嬉しいことに写真もオッケーでした。

 

水木しげるさんの「妖怪道五十三次 日本橋」。

見知った妖怪たちが盛りだくさんに登場しています。

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人物の特徴をとらえた、

山藤章二さんの「名人六花撰 古今亭志ん生」

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永井博さんの「Time goes by・・・」

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過去と未来が一緒になったような不思議な絵。

山口晃さんの 「新東都名所 東海道中 日本橋 改」

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草間彌生さんの 「わが心の富士はかたる」

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「これが木版画?」と思うくらい、木版画はどんな作風のものでもしっかり受けとめてくれるのですね。

「木版画」に持っていたイメージがかなり覆されました。

 

伝統的な木版画「浮世絵」の工程も会場で音声や道具類の展示、パネルなどで解説されていました。

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工程をざっとまとめてみると、

版元というプロデューサーの立てた企画をもとに、版元と絵師で綿密に打合せをします。

 

彫師は絵師の描いた絵をもとに、版木に絵を写し取るのですが、このときにとっても驚いたことが・・。

 

彫師が、版木の上に絵師の描いた下絵を、表裏逆にして載せて貼ります。紙が薄いので絵師の描いた線が裏からもよく見えるのです。

彫師は、紙の上から絵師の描いた線を版木に正確に写し取ってしまうので、原画(下絵)ってすっかりなくなってしまうのですね・・。

 

「も、もったいない・・」。

 

たとえば江戸時代だったら、歌麿や広重の描いた繊細な原画(下絵)が、まるっと消失してしまうということです。

 

もちろん江戸時代には、コピー機はなかったので、原画しか使えず、工程上やむをえないこととはいえ、わたしにはこのことが衝撃的に思えました。

(当時の方はそんな風には思わなかったのかしら?)

 

でもこの工程を通して、原画をいかに版木に忠実に再現できるか、が、まさに彫師の腕の見せどころだったのでしょう。

 

彫師は、

  • 絵の輪郭線のみを彫った版木(主版 おもはん)
  • その絵に着色する色ごとのそれぞれの版木(色版 いろはん)

を準備します。

 

③そして彫師の仕上げた版木をもとに、和紙に墨と水性絵の具で摺り上げる摺師

 

・絵を和紙に写し取った時にズレていないか。(注)

(注)位置を合わせるため、ひとつ前の工程で、彫師はひとつの絵を印刷するために必要な全ての版木に対し、同じ場所に「見当」と呼ばれる目印(マーク)を彫ってあるのだそうです。「見当違い」という言葉はここからなのだそうですよ。

 

・色は版元や絵師のイメージしたとおりなのか。

・ぼかしはうまくできているのか・・。

 

 

浮世絵(木版画)を世に生み出すには、

  • 蔦屋重三郎のような版元(プロデューサー)
  • 絵師
  • 彫師
  • 摺師

彼らのバトンリレーのようなチームワークが絶対に必要で、各々がなんて緻密で、地味で根気のいる仕事を積み重ねたんだろうか、と思えた展覧会でした。

 

また、絵師は後世に名を残すことがあったとしても、その陰に版元(2025年の大河ドラマで、やっと蔦屋重三郎さんたちを知りました)や、無名の彫師や摺師が大勢存在していたことにも思い至った展覧会でした。

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展覧会を観終わって、気が付いたらかなり歩いていたので、わたしは本館の前の広場にあるベンチで少し休憩しました。

 

表慶館をなんとなく振り返ると、建物の前の2頭のライオンの像が・・。

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あっ、こちらも阿形、吽形・・。

 

東京国立博物館 - Tokyo National Museum

公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団

 

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