
久しぶりに、東京・上野にある国立西洋美術館に行ってきました。
建物の正面入り口から入ってすぐ右手に、大きな彫刻が常設で屋外展示してあります。
オーギュスト・ロダン(1840〜1917年)の「地獄の門」です。
- 1880~90年頃/1917年(原型)
- 1930~1933年(鋳造)
- 高さが約5.4メートル×横約3.9×奥行約1メートル、ブロンズで重量は約7トンの大作です
じっと見詰めていると、首が痛くなります。
それにこの門の中のたくさんの像たちに圧倒されそうです。
ロダンのこの作品は、14世紀のイタリアの詩人ダンテの長編叙事詩「神曲」から着想を得たものなのだそうです。
作者のダンテが自ら作品の中に登場していて、「地獄」「煉獄(れんごく)」「天国」の三つの死後の世界を巡る物語で、人間の罪と魂の救済が描かれています。
ロダンは、フランス政府からの依頼を受けてこの制作をスタートしたものの、結局約30年もの歳月を費やしても、残念ながら未完に終わった作品です。
そのことを、今回初めて知りました。
ブロンズ像になる前に制作した、この門の「石膏の模型」に200体以上の像を組み込んでは取り外す、といったことを、ロダンは繰り返していたそうです。
それでも結局は未完でした。
鋳造が実現されたのは、彼の死後なのだそうです。
設立されたロダン美術館の最初の学芸員によって模型が組み直され、そして鋳造されました。
門の上に3人の人物が立っています。
そのすぐ下に見える見慣れたポーズで座っている人。
小さいのですがおわかりになりますか?


この人物は、世界のアイコン、あの「考える人」です。
この人は、そもそもここに組み込まれている存在だったことに、この日初めて気がついたので、写真を撮りながら叫んでしまいました(心の中で、ですけど)。
そしてこの人物だけ切り取られた拡大版の作品も、ここに展示してあります。
美術館を入ってすぐ左側にあります。

そう言えば、小学生の時、このポーズをみんなでまねをして、誰が一番上手いかを競った記憶があります。
(今の子どもたちもするのかしら?(*^-^*))
ロダンは尊敬する「ダンテ」を想定し、「考える人」を制作したのだそうです。
なお、「地獄の門」から少し離れた位置に配置された両脇の人物は、「アダム」と「イブ」でした。
もともとは、この「地獄の門」に組み込まれる予定だったものを、例えば「考える人」とか「アダム」とか「イブ」とか「放蕩息子」などとして、それぞれ一つの作品に独立・拡大化させたり、別の作品に取り入れたりしたのだそうです。
ブログを書くようになって、その作業の楽しさもありますが、同時に、文章を綴ることの難しさも段々と感じるようになりました。
頭で考えていること、心で感じていることは、多分「立体的なもの」で、それを一つの方向に向かって言葉を紡いでいくことは「直線的作業」だから、なのかもしれません。
ロダンのような天才とはもちろん比べるべくもないことですし、彫刻というジャンルではないですが、「書く」ということも、思っていることを掘り起こす、際立たせる、編集する、なんとか形にする、そんな作業の連続なのではないかしら、と感じています。
ロダンご自身による「地獄の門」は完成こそしなかったけれど、やめずにずっと作り続けていたこと。そこに心が打たれました。
国立西洋美術館の本館の建物は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエにより設計され、その歴史的価値から「世界文化遺産」に登録されています。
戦前に実業家(神戸の川崎造船所社長さんでした)で美術品収集家だった松方幸次郎氏が、戦争などにより国外に散失した収集品を、戦後にフランス政府から返還してもらう「条件」として建てられたのが、この「国立西洋美術館」です。
日本人に観てもらえるようになるのなら、ということでの寄贈返還だったそうですよ。
こういったことから、松方氏のコレクションを核とし、モネやルノアールなどの傑作を常時楽しむことが出来る場所なのです。
ロダン制作の同じ石膏模型から鋳造された「地獄の門」は、現在世界に7体あるそうです(8体という説もあります)。
最初に鋳造を依頼したのは、松方さんだそうです。
なので、ここ上野にあるものは、第一号だといわれていますが、最近の研究だと、いろいろな経緯があって第三号のものではないか、と考えられているそうです(以前の本などでは、第一号という記載もたくさん見受けられます。詳しくは下記の「みんなの3Dロダン図鑑」をご参照ください)。
もし機会がありましたら、歴史にも思いをめぐらしつつ、ゆっくりと散策されてみてはいかがでしょうか?(*^-^*)
(広いので、可能ならスニーカーでの散策をお勧めします)☆
「地獄の門」は、こちらにもあります。
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