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半藤末利子著「硝子戸のうちそと」は、笑えて泣けて。

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秋ですね

 

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きっかけ

以前、半藤一利さんの書かれた名著「幕末史」(新潮文庫)や「昭和史1926~1945」「昭和史 戦後篇1945~1989」(平凡社ライブラリー)を読んだことがあります。

「複雑なことをなんてわかりやすく書いてくださったのだろう」と深く感動し半藤さんのファンになりました。

 

多分書き手である半藤一利さんは膨大な資料を調査されて、書くうえで大変な思いをされたことと思います。

 

ここから一利さんの奥様、末利子さんの書かれた「硝子戸のうちそと」を読みたくなりました。

 

半藤末利子さん

文豪夏目漱石さんのご長女筆子さんの四女が末利子さんなのですね。

60歳の手習いで文章を書き始めたそうです。

すごく素敵なことと思います。

 

この本のあとがきに末利子さんは次のように書いています。

ご主人を亡くされて悲しい中にも、末利子さんのチャキチャキした感じ、芯の強さが垣間見えます。

 

 この本「硝子戸のうちそと」がようやく日の目を見たのは、たった今、令和三年四月の末である。それも普通のエッセイ集としてでなく、夫を追悼する本として出版されるのである。まったく思いもよらぬことであった。

 私など漱石なしでは世間をまかり通れない。だからこの本の始めも、これまでの著書同様に漱石と漱石夫人にまつわるエッセイで埋められている。読者に「またか!」と思われそうで気が引ける。残りは私の身辺に起きたさまざまのことを一文にまとめたものである。これも毎度おなじみちり紙交換のようなものである。ただ本書では、いまや亡き夫がところどころに顔を出し、最後の日々が綴られるのである。彼の声、仕草、喋り方などがゲラを読むうちに懐かしく思い出されて涙がこみ上げてきて困った。

 

最近出会ったさわやか青年

 うちの近所に100円ショップがあります。

先日そこで買い物をしてお店から出たところ、そのお店の前で一人のおばあさんが尻もちをついているところにたまたま遭遇しました。

 

わたしが駆け寄るより早く20代前半くらいの男性が、自分の持っていた鞄を投げ出してそのおばあさんを助け起こしに来てくれました。

 

私はその男性の鞄を拾って、その男性と一緒におばあさんが無事にご自宅に帰れるのかが心配で、しばらくおばあさんの後ろ姿を見守っていました。

といいますのも、足元がおぼつかないご様子なのに、杖も持たず、付き添いの方もいらっしゃらずお一人で歩いていたからです。

 

案の定、おばあさんは「どうもご迷惑をおかけしてすみません。大丈夫ですから」と言って歩き始めたものの、数メートル先でまた転倒。

 

でもたまたま、これまた近所のデイサービスの施設の方がガラスの壁越しにこちらの様子に気が付いたのでしょう。

すぐに機転をきかせて車いすを持って2人の職員の方が飛び出してきてくれました。

そしておばあさんを車いすに乗せてくれたのでとりあえず一安心しました。

 

そこまで見届けてその青年は「ホント良かったっすね」と言って会釈をして爽やかに立ち去っていきました。

ナイス青年!

 

みな等しく年を重ねていくということを思う

こんなこともあり、本書の中でとても深く心に残った言葉です。

きっと私がうんと若かったら読み飛ばしていたかもしれません。

 八十七歳と八十二歳の夫婦には、やがては無に帰する日が来るのであるが、その日が来るまで長く生きていくのは、それほど容易なことではない。試練はまだこれからか。とにかく年を取るということは、避けることができないだけに、大変な大仕事なのである。(本書中「たった一人の夜」より)

 

半藤一利さんからの遺言?

末利子さんがエッセイの中で、ご主人が亡くなる日に一利さんと交わした会話として次のような言葉を書いてらっしゃいます。

「墨子を読みなさい。二千五百年前の中国の思想家だけど、あの時代に戦争をしてはいけない、と言っているんだよ。偉いだろう」

(中略)

これは私への遺言であったのか。それとも私を通して少しでも多くの人に伝えたかったのだろうか。(本書中「日本人は悪くないんだよ。墨子を読みなさい」より)

そもそもご主人のことを知りたくて、奥様の本を読んだのです。

今度はその奥様の本から旦那様からの宿題の本を紹介されてしまいました。

宿題なので読みたいと思います。