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ジェーン・スーさん著「生きるとか死ぬとか父親とか」。そして私は家族とかファミリーツリーとかを思う。

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ジェーン・スーさん

ジェーン・スーさんは、作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティーをされています。

 

2023年現在、月曜日から木曜日の11時から13時にTBSラジオで生放送中の「ジェーン・スー 生活は踊る」という番組があります。

そもそも私がコロナ禍で自宅待機をしていたときに、たまたま聴いたことでスーさんを知りました。

言葉のチョイスが的確で、女性なんだけれど竹を割ったような感じのスーさん。

でもとても優しい方なんですよ。

 

最初はスーさんってどこの国の方かわからないけれど、やたら日本語が上手い方だと思って聴いていたのですが、後で日本人だったことがわかったのですが・・。

 

今はラジコとかで好きな時間に番組を聴いています。

 

ジェーン・スーさん著の「生きるとか死ぬとか父親とか」

お父様とスーさん、早くに他界されたお母様の、山あり谷ありのご家族のリアルのお話が描かれています。

 母は、私が二十四歳の時に六十四歳で亡くなった。明るく聡明でユーモアにあふれる素敵な人だった。しかし、私の前ではずっと「母」だった。彼女には妻としての顔もあったろうし、女としての生き様もあったはずだ。

 私は母の「母」以外の横顔を知らない。いまからではどうにもならない。私は母の口から、彼女の人生について聞けなかったことをとても悔やんでいる。父については、同じ思いをしたくない。(p14より)

 

実はこの本はドラマ化されていて、私はそちらを先に拝見してその後にこの本を読みました。

どちらも笑って、ホロリとさせられて秀逸です。

ただ、原作ではもう少し踏み込んでいて、お父様が幼少期に疎開先の沼津で体験された昭和20年7月17日の未明の大空襲のことにも触れられていました。

「いいか?逃げるときは決して自分が最初ではないんだよ。誰かが逃げて、そのあとをみんなが付いていく。どんどん人が増えていく。なんでそっちに逃げるかなんて誰もまったくわからない。とにかく逃げるんだ。馬も逃げてきたよ。どっかの厩舎が被弾したんだな。群衆がウワーッと逃げてるところに、狂ったように馬が走ってきて俺たちを追い越していった。馬だってどっちが正しい方向かなんて知らないのにさ」(p81より)

ニュースとか本とかでなく、自分に連なる身内から実際に当時どんな体験をしてきたのか聴きたいと思える瞬間があるかもしれません。

それはもちろん戦争とかだけではなく、両親や祖父母がそれぞれどうやって出会ったのか。

それまではどこで何をしてきたのか。

どんな子供だったのか。将来は何になりたかったのか、なども含めてです。

 

私は歴史が好きなのですが、一番身近な歴史は良くも悪くも自分の家族だと思いますし、もう少し広げてファミリーツリーを知ることも大切なのかもしれないなあ、と最近強く感じています。

 

スーさんのご両親の戦時中の体験。

ご両親のなれそめ。

お父様の事業の成功と失敗。

そしてスーさんとお父様との丁々発止のやりとり。

そのなかに歳月をかけて培われた愛と、苦みと、情けが入りまじった関係が垣間見えます。

読み終わるとそのまま自分と家族一人ひとりの関係に自然と思いが向かいます。

 禍福はあざなえる縄の如(ごと)しというが、親子は愛と憎をあざなった縄のようだ。愛も憎も、量が多いほどに縄は太くなり、やがて縄の強度を持つようになるのだろう。(p238より)